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  家庭用地中熱エアコン・2021,7

地中熱エアコン(ヒートポンプ)とは、通常のエアコンの室外機が外気の熱を利用しているのに対して地中の熱を利用するエアコンの事を言います。

そしてその特徴は、一年を通じて15℃前後と温度差のない地温を利用するために効率が良く、冬場の寒冷地に特に有効であり、夏場は都市部でもヒートアイランドの減少効果があると言われています。

◆◆◆現在発売されている商品◆◆◆

では、どんなメーカーがどんな商品を作っているのかを見ていきます。最初は株式会社コロナ。
ジオシス(GeoSis)という商品名で3種類。
●GTS-HY4000WZ(地中熱ヒートポンプ冷温水システム、4.0Kwの商品)●GTS-HY6000WZ(地中熱ヒートポンプ冷温水システム、6.0Kwの商品) ●CSH-C4000G(地中熱ヒートポンプエアコン)。最初の2種は、床暖房やパネルヒーター、冷温水パネルの熱源ということですが、輻射熱を利用したこうした放熱器は、快適な反面エアコンよりは工事代も 含めてコスト高となります。
ジオシスハイブリットという商品名で2種類。
●HYS-AG08WZ●HYS-AG11WZの2種で違いは能力。どちらも冷温水の熱源機ですが、地中熱ヒートポンプの弱点である掘削費を削減するために、地中の熱交換部分を減らして、その分を空気 熱源のヒートポンプで補うという発想の商品です。

次に紹介するメーカーは、サンポット株式会社
こちらの会社は小・中規模の施設を対象とした業務用も数種類販売していますが、ここでは、家庭用に限って取り上げます。ジオコン(GeoCON)という商品です。
●GSHP-461BX、こちらは冷温水による冷暖房に加えて給湯を地中熱ヒートポンプがまかなっています。●GSHP-0630●GSHP-1001●GSHP-1001こちらの3種は、冷温水による冷暖房をするタイプ ですが、能力の違いと屋内設置か屋外設置かという違いです。

◆◆◆地中熱エアコンの弱点◆◆◆

〇イニシャルコスト
地中の熱を利用するために地下に穴を掘り(地下100mくらいのボアホール)、採熱管と呼ばれる配管を地中に埋めます。その費用が10,000円/mとしても100万円、5,000円/mになっても 50万円ほどかかります。そのコストを考えただけでも地中熱エアコンの導入は、寒冷地向けのエアコンを導入する費用の3〜10倍はかかります。株式会社コロナがハイブリットタイプ を発売したのも、採熱管の工事代を下げるのが目的です。
〇ランニングコスト
株式会社コロナもサンポット株式会社も、採熱管の中に循環液(不凍液)を通して、それを循環ポンプで循環させています。しかも、冷温水タイプは放熱器側の冷温水にも循環ポンプを使用しています。カタログ上で詳細はわかりませんが、そのポンプの消費電力はかか りますし、熱交換器を2つ使って間接的に熱のやり取りをしているので、そのロスがあります。さらに、冬場と夏場の外気温は、地温と比較してかなり違うので地中熱が有利なのは わかりますが、中間期の外気温は、地温と同じか逆転していて、空冷の方が省エネとなる場合があります。したがって、空冷のエアコンと比較すると、日本のどの地域でも年間を通して 地中熱に軍配が上がるとは言えません。ガスなどの他の熱源との比較では有利になる場合があるかもしれませんが。

◆◆◆直膨式地中熱エアコン◆◆◆

右側の図は、今まで説明してきました株式会社コロナとサンポット株式会社が採用している地中熱熱交換器の方式です。家庭用・業務用を含め国内の地中熱ヒートポンプの90%以上がこの方式だと思います。
冷房と暖房で冷媒(フロンガス)の流れの方向は変わります。冷媒回路(青線部分)と採熱回路(黒線部分)が分かれていて、その熱のやり取りの為に熱交換器が存在します。ここではこれを、 間接膨張式地中熱ヒートポンプと呼ぶことにします。(以降、簡略化のため間接式と表記します。)




一方、下の右図は、2005年ごろ埼玉県久喜市の株式会社アクア冷熱(現在のAHPテクノ株式会社)の社長が自宅に鋼管を打ち込み、実験をした方式です。図を見てお分かりのように、 冷媒回路(青線部分)が直接地中で熱交換しているので、間接式に必要な熱交換器や循環液を循環させるための循環ポンプが不要です。これが日本で最初の直膨式地中熱エアコンで、 現在直膨式地中熱ヒートポンプをうたう商品や研究があるとすれば、株式会社アクア冷熱の流れをくむか、模倣した商品だと思います。

一時期、株式会社アクア冷熱は埼玉県川口市のホームビルダー、株式会社藤島建設と提携して、自宅の実験レベルから一般家庭での実試験、そして採用へとその技術を確立 していきました。現在は、株式会社藤島建設が株式会社ホームエネシスという別会社を設立して直膨式地中熱ヒートポンプの普及を目指しています。当初は、エアコンと給湯を単一機種で行っていましたが、 その後、「マルチエアコンと給湯専用機のセット」そしてエアコン専用機としての「マルチエアコン」、「シングルエアコン」を発売しています。(*下の図は株式会社ホームエネシスのホームページ から抜粋しています。詳細はそちらをご参照下さい。)

株式会社ホームエネシスの直膨式地中熱ヒートポンプは、地盤改良に用いる鋼管杭を採熱管に利用することを特徴としています。
先にも述べましたように、商品としては、3種類。
マルチエアコンに給湯器を加えたジオットF (GeottF)、マルチエアコンのみのジオットM(GeottM)、シングルエアコンのみのジオットS(GeottS)があります。
エアコンと給湯を切り離したことで、商品以外にかかっていた費用(鋼管杭、採熱配管、それらの工事費用)が随分下がったことと思います。寒冷地で間接式を採用する需要があるなら、 イニシャルコストでもランニングコストでも十分有利な商品だと思います。 しかも株式会社ホームエネシスの商品は、メーカーとしてJET認証を受けています。ただ、間接式よりもトータルコストが下がったとは言え、実行価格は150万円を越えそうです。この商品がさらに どんどん普及して量産化すれば、コストが大幅に下がるのか?というと現状のシステムのままでは限界があると思います。

◆◆◆地中熱エアコンのもう一つのメリット◆◆◆

これを前面に押しているメーカーはありませんが、地中熱エアコンにはメリットがあります。それは、通常のエアコンに比べて室外機の音が静かということです。 カタログ上の数値ですが、暖房時の騒音を比較すると、株式会社コロナのジオシスCSH4000Gが39dB、サンポット株式会社のGSHP-0630が45dB、株式会社ホームエネシスのGeottMが43dB。一方、 空冷の壁掛けエアコンの一例としてダイキンのS56XTEPは、暖房時65dBとなっています。同じようにコンプレッサーを装備している事を考えれば、ファンモーターの振動と風切り音が騒音の 原因なのかもしれません。

騒音に関しては、家庭に普及したエコキュートで、一般社団法人 日本冷凍空調工業会から設置時の注意が数年前に示されましたが、エコキュートの騒音値は冬場で45dB 前後です。空冷エアコンはそれを遥かに上回る数値となっています。今まで、エアコンの騒音がそれほど問題にならなかったのは、エアコンの稼働時間が短かったからだと思われます。 夏場は寝るころにはエアコンを切って寝る事が出来たし、冬はエアコンを使わない暖房が主流でした。

しかし今、暑い夏と住宅の性能向上で、24時間エアコンを付けっぱなしという時代になりつつあります。本当は、24時間エアコンを付けっぱなしでいるような高性能の住宅ならば、エアコンが フルパワーで動くのは僅かな時間だと思いますが、見る人はそう思わないので、近隣クレームにつながるのでしょう。「音の静かなエアコン、しかも省エネ」この点において、家庭用地中熱エアコンはこれから 伸びる可能性があるエアコンではないだろうかと弊社でも注目するに至りました。

◆◆◆弊社での実験計画◆◆◆

さて、ここで弊社では次のような点に着目し、実験をすることにしました。

@採熱管の簡素化。
・地中熱は少なくとも5m以上、理想は10mを越えた付近が地温が安定していると言われていて、垂直に採熱管を設置する場合が多いです。しかし、これがコストを上げてしまう一番の要因で、この垂直採熱管方式を見直さない限り地中熱エアコンのコストは大幅に下がることはありません。
そこで、弊社が実験する方法は、本数及び深さを最小限にして実験します。

地中熱ヒートポンプであまり議論にされていませんが、地中熱を採用した場合、冷房時には地中の温度は上昇し、暖房時には逆に下降していって、冷暖房を使えば使うほど熱交換の効率が悪くなります。特に、エアコンを24時間連続運転するような場合は、地温の回復が間に合いません。 だから、弊社でやろうとする採熱管の考えは、不利な状況を目指しています。

A地中熱100%の考えをやめる
いままで、コロナのジオシスハイブリットを別にして、「空冷 対 地中熱」という対抗する考えがありました。地中熱が連続運転に向かなかったり、中間期の効率が逆転するのならば、100%地中熱にこだわらなければいいのでは?と思いました。 考えていても進まないので、自社で実証実験をすることにしました。

「直膨式地中熱エアコン、ハイブリットタイプの検証」として後日報告しますので、ご期待下さい。

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